CREA LIFE's column

国土交通省はこのたび、「令和2年度土地に関する動向」及び「令和3年度土地に関する基本的施策」(土地白書)を国会に報告した。土地白書は、土地基本法に基づき国会に報告するもので、地価、土地利用、土地取引その他の土地に関する動向、政府が土地に関する動向を考慮して講じようとする基本的な施策などで構成されている。 今回は、「令和2年度土地に関する動向」第1部「土地に関する動向」第1章「令和2年度の不動産市場等の動向」の内容について紹介する。

既存(中古)マンション成約価格、首都圏・近畿圏ともに上昇基調が続く

2021年1月1日時点における全国の地価動向を見ると、全用途平均は2015年以来6年ぶりに下落する結果となった。用途別でも、住宅地が2016年以来5年ぶり、商業地が2014年以来7年ぶりの下落となった。地域別に見ると、三大都市圏では、全用途平均・住宅地・商業地ともに2013年以来8年ぶりに下落し、地方圏でも、全用途平均・商業地は2017年以来4年ぶり、住宅地は2018年以来3年ぶりに下落した。
同白書では、「新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に需要が弱含みとなっている背景として、住宅地については、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となる中で、取引の減少、建築費等の上昇の継続などがあげられる」としている。

住宅市場の動向を見ると、新築マンション平均㎡単価は、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)では「2020年1~3月期には100万円を超えたが、その後は下落し、2019年と同水準」となった。近畿圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)では「一度下落したが2020年7~9月期に大きく上昇し70万円台前後で推移している」という。新築マンション平均価格は、首都圏は「2020年1~3月期には7,000万円を超えたがその後下落しており、近畿圏は4,000万円前後で推移」している。
また、既存(中古)マンション成約平均価格は、首都圏では3,599万円(前年(2019年)比4.6%増)、近畿圏では2,337万円(同1.2%増)となり(図1)、「上昇基調が続いている」という。成約件数は、首都圏では3万5,825戸(同6.0%減)、近畿圏では1万6,862戸(同5.6%減)となり、いずれも減少となった。

図1:首都圏・近畿圏における既存(中古)マンション成約件数及び成約平均価格の推移

 

※資料:(公財)東日本不動産流通機構公表資料より国土交通省作成

出典:国土交通省 「令和2年度土地に関する動向」及び「令和3年度土地に関する基本的施策」(土地白書)

不動産取引時、「ハザードマップ等の災害に関する情報」を参考にする人が約4割

国土交通省で毎年実施している「土地問題に関する国民の意識調査」によると、土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産と思うかを単一回答で聞いたところ、「そう思う」は21.5%、「そうは思わない」は27.3%、「どちらともいえない」は31.2%となった。
また、土地を所有したいかを単一回答で聞いたところ、「所有したい」は43.1%、「所有したくない」は25.3%、「どちらともいえない」は30.0%となった。「所有したい」理由(単一回答)は「居住用住宅等の用地として自らで利用したいから」(62.2%)、「所有したくない」理由(単一回答)は、「所有するだけで費用や手間がかかるから」(34.6%)が最も多かった。

不動産取引時に参考にしている情報(ハザードマップ等の非価格情報)を複数回答で聞いたところ、「周辺の公共施設等の立地状況・学区情報」(62.1%)が最も多く(図2)、次いで「ハザードマップ等の災害に関する情報」(41.5%)、「住宅の維持保全に関する情報」(31.0%)の順となった。
ハザードマップ等の災害に関する情報を参考にした(参考にする)と回答した人に、そう思う理由として、近年の災害の発生状況は影響しているかを単一回答で聞いたところ、「影響している」は89.7%となり、約9割を占めた。

ハザードマップについては、当サイト「住環境を調べる>防災関連情報:ハザードマップ」を参照のこと。

図2:不動産取引時に参考にしている情報(ハザードマップ等の非価格情報)(複数回答)

※資料:国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」(令和2年度)

出典:国土交通省 「令和2年度土地に関する動向」及び「令和3年度土地に関する基本的施策」(土地白書)